広報部撮影手帳
その一枚までの一部始終
毎週、そして平日一回、定休日を除けば感覚的には毎日クリスマスツアーをやっていたような怒涛の12月。
この家は随分和風なクリスマスツリーだなあなんて思ったら、いつの間に門松に変わっていたようで、
気づけば2022年が終わり、2023年が始まろうとしています。年越しなんですなあ〜。
今年も年越し大島ツアーの撮影に行ってきました。
思えば人生というのは災難の連続でございます。
2020年年越し大島ツアーの年越しダイブは全編GoProで撮影しました。
その時の動画はこちら
あの時はまさにカウントダウンが始まるという時にGoProがブラックアウト。
暗闇の水面でバッテリーを入れ直すというドタバタ劇。
2021年の年越しダイブは前年の反省を活かしNikonの一眼レフに変更。
撮影機材にトラブルは無いものの、この年から採用された「ウェーブ年越し」が大ゴケ。
「なんだかよく分からないけど年は越したらしい」でも笑顔を向けてくれるお客様にただただ感謝。
その時の動画はこちら
果たして2022年の年越しダイブはいかに。
新年から誠に不謹慎ですが、「あーあ、三原山噴火すれば良いのに」と思いました。
チャンスは一本
年越し大島ツアーの醍醐味はもちろん年越しダイブ。
水中で新年を迎える光景をビシッとおさえれば大丈夫。
だから12/30と12/31の日中が雲がちで水中暗くたって大丈夫。
ほんの数秒、雲の隙間から陽が入って浅場が綺麗!って時にうねりがあって真っ白けっけでがっかりしたって大丈夫。
相変わらずクマノミ城のイソギンチャクだけ赤いんだな〜
こんなに近くにいるのに色が違うのは不思議だな〜なんて
まだまだ余裕余裕〜。
そう、年越しダイブだけおさえれば大丈夫。
なんなら夕暮れも楽しんじゃう。
だって年越しナイトの一本だけ外さなければ良いんだから。
だから椿油で揚げる夕食にも余裕で舌鼓。
頑張るのは明日の今頃からかな〜?なんてね。
12/31の夕日は特別綺麗でした。
夢中でシャッターを切りました。
他のことを思い浮かばないように夢中に。
他のことが何かって?「いよいよ次が年越しダイブ」と考え出すと落ち着かなくなってきました。
だって年越しダイブは三日間も大島で潜っているのに一本しかないんです。
その一本外したらこの三日間は無かったも同然。せめて二本あれば補えるのに一本しかないんです。
今までで一番暗い秋の浜
いよいよ年越しナイトが始まります。
暗い中ハウジングのセッティングをするのは嫌なので、EN前の陸撮はGoProで行う作戦でした。
ですが、秋の浜に到着するや否や作戦崩壊。浜が暗すぎる。
例年ダイバーを取り囲む車のランプで浜はぼんやりと明るく、GoProでも十分撮影できる明るさでした。
ところが今回はほとんどパパラギ貸切状態。光源はなく、GoProではほぼ真っ暗、映ってもノイズだらけになってしまいます。
急遽陸撮もNikonのレフ機に変更。EN直前まで撮影に使いました。
後にこれがとんでもない現象の引き金になるとも気づかずに。。。
23時23分、トラブル発生
年越しナイトダイブのタイムテーブルをご紹介します。
22:45 集合写真撮影
23:00~23:20 順番にチームがEN、ナイトダイブ
23:50 打ち合わせ地点に全チーム集合、一つの大きな輪の陣形に
23:57 全員が手を繋ぎウェーブ開始
23:59:50 カウントダウン開始
0:00 年男・年女決定、EX
最後のチームのENを見届け、ハウジングにセットし海へ。
ナイトダイブを楽しむ皆さんを撮影している時にそれは起こりました。
なにやらやけにファインダーが見づらいぞ。ナイトだからか?それとも気のせい?
気のせいということで自分を納得させようとするも、その見づらさはどんどん悪化しています。
なんなら他ダイバーのライトの光がベールに包まれたようにぼんやり見える。
ハウジングを確認すると液晶側の内側が結露しています。まあ液晶が見づらいだけなら良いか。
いや、まさか。
ハウジング前面を確認すると、Nikkorレンズが誇る銘玉14-24mmの前玉が結露しているではありませんか!
EN前に寒空の下で撮影し冷え切ったレンズが、黒潮で暖かい伊豆大島の海との水温差で結露したのです。
陸上は4〜6℃、水中は15℃。そら10℃も違えばねえ。おのれクロシーオ。
これまでの撮影データは全て白くモヤのかかったものしか残っていない。
人は災難に直面すると、さらなる災難で問題を揉み消そうとすることがあります。
この時初めて撮影がパーになるかもしれない災難に、解決することよりも先に「あーあ、今三原山が噴火すれば撮影どころじゃなくなるのに」なんて頭をよぎった事を覚えています。
耳を澄ませても噴火の音は聞こえないので諦める。
そしてここから薮崎の戦いが始まる。
ダイコンを確認すると時間は23:23。絶対に外せないのは23:50からの景色。あと27分。
この27分でレンズをリカバリーするか、結露は甘んじて良しとし撮影を続行するか。レンズをリカバリーするとて暗闇の秋の浜で間に合うのか、また結露しない保証もない。どうする?
その瞬間にかける
昨年と同じ「ウェーブ年越し」をやるか。
年越し大島ツアーのスタート前から担当スタッフの間では気を揉んだ問題。果たして成功するのか?
EN前のブリーフィングにも熱が入ります。
年越しという特別な瞬間を海で、パパラギで過ごすことを選んでくれたお客様をがっかりさせるわけにはいかないのです。
その瞬間を曇ったレンズで撮影する訳にはいかない。
走れば間に合う。賭けに駈ける。思えばあれは2022年最後の洒落でした。
無事に賭けに勝ち、スッキリ撮影することができました。
2020年のGoProブラックアウト事件よりドタバタでした。
そんなこんなで当たり障りのない一枚ですが、その背景にはその瞬間にかける担当スタッフたちのそれぞれの役割の奮闘があるんです。
撮影に関しては何事もなくサッと撮れるのが一番なんですけどね。
今年は年越しダイビングの金字塔となる回になりました。
撮影に立ち会えて楽しかったです。
ありがとうございました。