真面目に遊ぶ沖縄 久米島

日本で一番美しいドロップオフ

久米島は沖縄諸島の中でも深海が近く大型海洋生物が接近するだけでなく、島のあちこちにあるドロップオフはカラフルな魚が集まる楽園です。
緩やかな潮流の中でカスミチョウチョウウオを眺める時間は、いつも久米島にきて良かったと感じる瞬間です。

根のトップで水深は10mほど。陽の当たる明るい広場にはサンゴが群生し、その上をハナダイ、ハナゴイ、カスミチョウチョウウオが埋め尽くし、時折ゆっくりとウミガメが横切っていきます。

ドロップオフを降りればあっという間に60mを超える水深に。視界の先からやってくる湧昇流に乗って、さまざまなプランクトンがやってきます。安全停止中は摩訶不思議な形のガラス細工に囲まれているような気になってしまいます。

小さなプランクトンから大きなクジラまで、海の広がりをぎゅっと圧縮したような生物層の豊かさ。
言い換えれば、どこにあるのか見当もつかないプランクトンの世界も、夢のまま終わってしまいそうなザトウクジラが泳ぐ海も、遠くの世界と思っていた海がダイビング船の下にポンっと用意してあるような面白さです。

でも、そんなこと考えながら遊ぶ人はいないでしょう。
ダイビング中の頭の中は、目の前を通り過ぎるマンタのことでいっぱいですから。

真剣に遊ぶ

ツアー初日、ダイビングポイントに向かう途中に10頭以上のザトウクジラが牽制し合うヒートランに遭遇。
こんな調子で、久米島で遊んでいるといつ何が起きるか分かりません。なので準備がとっても大切。

カメラの準備も防寒の準備もできるだけして船に乗り込みます。
ダイビングのつもりが急にホエールスイムに変わることだってあります。
船が走り出したらその時一番面白い遊びを選びながら流動的に楽しみます。

防寒具だけではありません。ウエットでいくかドライでいくか。
カメラのセッティングも船に持ち込む軽食も、自分が楽しみたいものに合わせて決めます。

ちゃんとしたカメラじゃなきゃ撮れない?

大丈夫、スマートホンで写ります。

船酔いが心配?

大丈夫、お腹が空いたらクジラ見ながらでも食べれます。

体調管理をはじめ、中性浮力やエアマネジメントは自己管理が当たり前。
自分のことは自分で責任を持って。それができないと海に相手にしてもらえません。
逆に言えば、できていれば海から近づいてきてくれるものです。

スキルを磨く意味

ダイビングに安全管理のためのルールがあるように、海で遊ぶのにもルールがあります。
ザトウクジラにストレスをかけないように。
船と接触事故を起こさないように。

マンタにストレスをかけないように。
マンタの場所を荒らさらないために。

上の方の「大丈夫、スマートホンで写ります」のすぐ上の、みんなでクジラを船の上から撮っている写真、よく見てください。
ザトウクジラの背中に大きな傷跡。
きっとスクリューで傷つけられたのではないでしょうか。
ダイバーと海との距離感にはいつも考えさせられてしまいます。
ま、考えていても何も始まらないのでやっぱりスキルを磨いていくしかありません。
スキルがないと自分の身を守ることで精一杯で周りのことは考えられないですもんね。

最後にお伝えしたいルールは、
面白そうだったらひとまず突っ込んでみる。

風に悩まされた4日間。真っ白なうねりは、ダイビングポイントを制限するものであると同時にダイバーのおもちゃでもあります。
どうしても我慢できずに真っ白な泡の中に突っ込んで遊んでいると、同じ場所で遊んでいる現地ガイドさんを見つけました。
まるで知らない場所で仲間を見つけたようで妙に嬉しいものです。

とりあえず突っ込んでみても、頼りになるガイドさんがいればきっと楽しめます。
さて、なんの話だったかはもう思い出せませんが、一通りいい感じでした。久米島。

自己管理ができて、遊びに向けて準備をして、そして遊び場を守る頼りになるガイドさんがいてこんなに遊べる海はありません。
この海を楽しめたというのはちょっとした意味を持つと思います。
難しい海も潜れるという意味ではなく、自力で海を楽しめるダイバーだという意味です。

今年も刺激的な海でしたね。
ご参加いただき、ありがとうございました。